報告

T to Light


震える声で報告する魅上に、「神」は冷静だった。

「よくやった、魅上。お前を選んで本当に良かった。感謝している」

「私は感謝されるいわれなどありません。

どう致しますか、神…もう、いつでもご意思を実行できます」

「そうだな…」

電話の向こうの声が考え込んだ。

チェンジャーで変えてはあるが、クリアーで論理的な思考までは隠せない。

神である確認を取った時の迅速な回答といい、神は相当な頭脳の持ち主らしい。

また、これは想像にすぎないが、神はまだ若い人物ではないだろうか。

おそらく眉目秀麗な、涼やかな目の青年なのだろう。

魅上の想像は止まらない。その想像の全てが、彼を満足させ、恍惚とさせた。

「いや、まだメロは殺さない。メロにはもっと重要な役目がある」

「とおっしゃられますと?」

「メロには、ニアをおびきだす囮になってもらう」

「ニアが…?果たしてメロの為に動くでしょうか」

「あの二人は反目しあってはいるが、過去にワイミーズハウスでのつながりがある。

現に、ニアはメロのいう事ならば信じるし、

メロもまたニアの能力には絶対の信頼をおいている…。

Lの復讐にかける意気込みは個人の意地が大半を占めるだろうが、

ニアは意地に拘って目的を忘れるような馬鹿でもない…」

「協力しあう可能性もあるということですか…」

「ああ、そうだ。…ライバル同士といえど、何かしらの絆はあって不思議じゃない…」

魅上は黙った。

一瞬神の声がひどく遠くに聞こえた。

「…ならば、メロを拘束して、ニアのいる場所に案内させればよろしいのでは?」

「魅上、お前はメロという人間を全く知らない。

奴は威しに屈するようなタイプじゃない…。

自分が捕まって操られるくらいなら死を選ぶだろう。

…回り中を道連れにしてね。

大体、メロは捕まらない。

強引な手段をとっても、それ以上の抵抗にあって余計な犠牲をだすだけだ…」

「神よ、私が愚かでした…」

「聞け、魅上。

メロの目的はキラを倒す事だけじゃない。

奴は『一番』になりたいんだ。キラを捕まえたら、ニアに必ずそうと告げるはず。

ニアは慎重な奴だ。本当に信用した者でなければ、自ら顔を晒したりしない。

…がメロのいう事なら信用するだろう。

Lを殺したキラの顔を自ら確認しに来ないわけもない。

…魅上、お前には、神の代役を頼みたい。

メロに、捕まるんだ…。

お前なら、ニアの名前が見える…ニアはキラに「目がない」事に気付いているはず。

おそらく、お前が第一のキラだと信じれば、お前に顔を晒すだろう。

危険な役回りだ…。

ニアはともかく、メロは手段を選ばない。

感情的な人間でもある。捕まったら問答無用で殺されるかもしれない。

それでも…やれるか。私と、生まれ落ちたばかりの世界の為に」

「もちろんです、神よ…。死など、怖れはしません。

喜んでこの命を捧げます…神のために」

もとより、死神と目の取引をした時から魅上の心は決まっている。

自分の望みは神と神の創造する世界の奴隷となり、命を投げ出すことだ。

まさにその機会が与えられるばかりとなり、魅上は歓喜に震えていた。

「ありがとう。では、メロとニアにお前をキラだと信じさせる方法だが…」

神の声は淡々と続く。

おそらく、作戦は今この場で思い付いたのではなく、

あらかじめ練られていたものだったのだろう。

一言もその言葉を聞き漏らすまいと、

魅上は見えない相手に向かって身を乗り出した。

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